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症状について

統合失調症(精神分裂病)

はじめに

このごろ精神病や心の病といった言葉をよく耳にします。生活の豊かさを望むあまり、心の健康について考えることが少なかったせいかもしれません。

しかし、言葉では知っていても、その内容についてはあまり知られていないようです。恐い、わけがわからないなどのマイナスのイメージだけが広まり、さまざまな誤解を生んでいます。

そのことが、心の健康を考える上で障害になるだけでなく、何より病気で悩む人やその家族を傷つけ、治療の妨げになっています。

このページは、そんな誤解を少しでもなくそうと作ったものです。精神病の中でも一番多い統合失調症について、説明してあります。このページを読んだ方が、精神病について正しい知識を持ち、少しでも多くの方に伝えて下さることを願っています。

統合失調症は・・・精神疾患の一つで、頻度の高い病気といえます

統合失調症は、脳をはじめとする神経系の病気ですが、脳の機能が全くだめになってしまったり、人間性が失われてしまう病気ではありません。

我が国の精神科入院患者の中では、約6割を占めています。

原因は・・・特定されていません

過去から様々な仮説がありますが、現在でもその原因については、まだ証明されていません。 ある程度わかっていることはあります。

  • 親の育て方や環境だけで病気になるのではありません。
  • 遺伝病ではありません。(発病のしやすさ、体質的なもろさは伝達されることが考えられます)。
  • 一つの原因によって発病するのではありません。

一般的にはその人がもっている体質的なもろさにストレスが加わり、バランスを崩して発症すると考えられています。そして、それはドーパミンなどの脳内の神経伝達物質の代謝の変動と関係しているようです。

症状は・・・多彩で人によって様々です

「陽性症状」と言われるものがあります。

  • 人の声や物音、電波やテレパシーなど、そこに実在しない音が聞こえてくる体験をします。(幻聴)
  • 間違った考えを修正できなくなったり、被害を受けていると思いがちになります(妄想)
  • 混乱や興奮のため、まとまりのない会話になります。
  • ※このような目立った症状は、発病後まもない急性期に主として見られます。後に述べる薬物療法が有効な症状です。

症状は・・・多彩で人によって様々です

「陰性症状」と言われるものがあります。

  • 感情の動きが乏しくなったり、まわりに対して無関心になります。
  • やる気がでない、言葉が出にくいなど、意欲や自発力が低下します。
  • 集中力がなくなったり、疲れやすくなり、家にとじこもりがちになります。
  • ※このような地味な症状は、周囲から怠け者に見えるなどの誤解を受けることがあります。急性期のあとの消耗期、回復期と言われる時期に主として見られる慢性の症状で、長期的に見守ることが必要です。

経過は・・・個人差があり、回復のスピードはとてもゆっくりです。

治らない病気ではありませんが、ストレスなどで再発を起こしやすいことがわかっています。再発予防を心がけることが大切です。近年では、薬物療法やリハビリテーションの進歩により、その予後はかなりよくなってきています。

遺伝や発病次期は・・・必ず統合失調症になるわけではありません

体質的なストレスに対する弱さは似るかもしれません。国際的な調査では、総人口あたり発病率は約1%(100人~130人に一人ぐらい)で、地域、性別などによる発病率の大きな違いはないと言われています。発病時期は10代後半から20代に多く見られるようです。

治療は・・・薬物療法が中心とした総合的な取り組みが必要です

治療の中心は薬物療法になります。

  • 脳内の神経伝達物質に働きかける薬などを服用します。これによって病的な体験はやわらぎます。
  • 副作用などの薬についての心配ごとは、主治医と相談しながら調整していきます。症状を抑えるためにも、再発を予防するためにも、最少限の量を飲み続けることが必要です。

治療の中心は薬物療法になります。

  • 心の安定をはかるための精神療法、社会生活技能の障害に対するSST(生活技能訓練)、家族関係の調整のための家族療法があります。
  • 病院や保健所で行われているデイケアでの活動もリハビリテーションの一つです。

入院は・・・長期入院することが少なくなっています

最近では通院治療が中心となっています。本人や家族の状態で、家庭が治療環境として望ましくない場合や、自分や他人を害する危険があるときには入院して治療する必要があります。服薬の習慣や日常生活リズムをつけるための入院が必要な場合もあります。

周囲の援助は・・・今大体どの時期にいるのかわかると対応がしやすくなります

回復にはほどよい励ましと助けが必要です。

  • 無理な励ましは本人の過剰なストレスとなることがあります。
  • 助けすぎると、経験のチャンスが減り、回復が遅れることがあります。
  • 時間をかけて話し合うことが大切です。

再発のサインについて知っておくことが再発予防になります。

  • 睡眠の障害が見られたり、急に活動的になったり、ささいなことに過剰に反応するなど、再発のサインと見られる症状を知っておくことが大切です。
  • 無理をさけて、ゆっくりと休養するように働きかけることが大切です。
  • なかなか良くならないときは主治医に相談しましょう。

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