身体には何の異常もないはずなのに、街中に出かけたとき、ショッピングセンターやバスの中などで、突然に胸が苦しくなったり、動悸がしたり、めまいがしたりして、このまま死んでしまうのではないかと思うような恐ろしい不安に苦しむ人がいます。パニック障害と呼ばれる病気を持った人です。
どう対応したらいいのか?どういう病気なのか?この病気について理解が深まることで社会的生活を少しでも安心して過ごしていけるようになっていただければと思います。
パニック障害は病気です。それも、早めに治療すればよくなる病気です。
パニック発作と呼ばれる反復性の重篤な不安発作があり、その発作が起こるのではないかという不安(予期不安)から、人ごみを避けたり、バスや電車、美容院などすぐに逃げ出せない状況を避けたりするようになります。広場恐怖や抑うつ状態に発展することもあり、社会的な生活が阻害されます。そのため早期に治療することが必要です。
一生の間に1~3%の人がパニック障害になるとみられています。
予知できない、自分ではどうしようもない不安発作です。
パニック発作は、反復して起こってきます。
パニック発作自体は他の精神疾患でも起こってきます。パニック障害はこの発作が繰り返され、発作に対する不安や回避行動などを伴ってくる病気です。
パニック発作は次のような症状があります。
広場恐怖と言っても、単に広い場所に出るのが恐いわけではありません。以下のような状態が起こってきます。
パニック発作を経験したあとは、発作のないときでも、「またパニック発作が起きるのではないか」という予期不安が生じ、その不安を起こす状況を回避する行動の結果として「広場恐怖」が生じると考えられています。
脳内の神経伝達物質のバランスが悪くなって起こっていることが主たる原因と考えられています。そのため、脳内の神経伝達物質のバランスを調整する薬物治療がよく効きます。
家族内発症も多く、ある種の遺伝性が考えられています。
ストレスなど環境因子による影響も考えられています。
慢性の経過をとりますが、症状の消長があったり、しばらく間をおいて出現したりといった経過をとることもあります。
最初は、パニック発作に対して何か身体の病気ではないかと病院を受診しても検査で異常が出ないため病院を転々とすることもあります。パニック発作が起こることを恐れて、人のなかへ出て行くことを避けたりするようになります。そのため家から出られなくなり、ひきこもりになったり、抑うつ状態に陥ったりすることもあります。
パニック障害とうつ病の合併の問題もあり、また時には自殺することもあります。専門家による適切な治療がより重要になります。
パニック障害の治療は、薬物療法によってパニック発作をコントロールし、症状が発展しないように抑えるとともに、反復する発作によって失われた社会生活機能を回復するための心理療法を行います。
身についた身体感覚の誤った解釈を修正し、正確に認知できるようにしていく治療法です。
全般的、持続的に、状況に限定されない不安があるものを言います。
強迫思考(こうでなければいけない)、強迫行為(こうしなくてはいけない)というとらわれが強く社会生活が困難になったりします。
パニック障害は、治療によって改善する病気です。しかし回復には長い期間を要することもあります。そのため周囲の理解が得られず孤立することがよくあります。強い不安に苦しんでいる人にとって、あたたかく見守り理解してくれる人がいることは大きな支えとなります。
叱咤激励ではなく、その人のこころのそばにいることを心掛けてあげてください。周囲が安心感を与え、ともに不安を受けとめていくことが大切です。ゆっくり、あせらずに治療できるようにしていきましょう。
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